功利主義について超分かり易く解説!最大多数の最大幸福って何?いじめを肯定している?
ベンサムの「功利主義」について、分かり易く解説していきます。どういった考え方なのか、本質とは何かをしっかりと説明していくので、是非読んでいって下さいね。
功利主義とは?
功利主義にて掲げられている理想は「最大多数の最大幸福」です。つまり、出来るだけ多くの人が出来るだけ多くの幸
せを得られるような社会を目指しているという事。その考え方を根本に功利主義は成り立っているのです。
功利主義においては物事が「快」か「苦痛」かで判断されます。この二つはシンプルに「快」は良い事「苦痛」は悪い事を指します。テレビゲームを例に挙げると、娯楽として楽しめる、コミュニケーションのきっかけになるといった「快」がある反面、やりすぎは運動不足になる、視力が低下するという「苦痛」があるという事になります。
この「快」を増やしていく事が功利主義にとってのプラスというわけです。ただ、ここから問題になってくるのが、自分だけではなく社会全体、あらゆる人が「快」を享受しなければならないという事です。そこで功利主義では「快」の多い人間は「苦痛」の多い人間に、それを分け与えようという話になります。自分の幸せを削ってでも他人を助けるかという話です。与える側にとっては損でしかないと考える方も少なくはないと思います。
しかし、社会全体の事を考えてみましょう。少数の人間がとても裕福な生活を送る社会か、世界の皆が幸福に、苦しまずに生活する社会か。どちらが望ましいと言えるでしょうか。後者を目指す為の考え方が、功利主義なのです。ただ、自分だけ幸せならいいという考えを捨てきれないのも分かります。自分の分け前が無いという人はいなくなるが、もっとあったはずなのに減る人が出るというのが、この考え方の一つの弱点だとは思います。
間違った解釈の功利主義
功利主義は周りから勘違いされがちな思想です。前述もしましたが、「自分だけが快を得られれば良い」という
考え方ではなく「社会全体に快を広めていく」というのが本質です。で、あるにも関わらず間違った解釈をされ、利己的だと言われる事もしばしば。
こう言った勘違いの積み重ねで、功利主義は間違った見かたをされがちです。しまいには、功利主義には「いじめを肯定している」とまで言い出す人も。いじめにおいてはいじめられる側一人が苦痛を感じているだけで、残りのいじめている側はストレスを発散して「快」を得ている為、功利主義にそっているという考えが述べられているのです。
正直この意見は功利主義の本質からずれていると思います。「快」と「苦痛」は決してその場限りのものではないです。そもそもいじめをしている人間皆が、楽しいと思ってやっているわけではないというのもありますが、いじめをするという行為そのものがそもそも後に苦痛になるのではないでしょうか。時がたって自分が人をいじめていた事を後悔する時が来るでしょうし、そのいじめの光景をみて苦痛を感じる人も多いと思います。
「最大多数の最大幸福」とは、大人数の為に少人数が犠牲になっても良いという事ではありません。寧ろこの場合は心に余裕のある人間がそれを止めるというのが正解なのではないでしょうか。ただ、こういった間違った解釈をされがちなので気を付けようというお話です。
また、功利主義は確かに素晴らしい考え方ではありますが、決して何においても基準に出来る万能な考えではありません。また、ベンサムが功利主義を提案してから長い年月がたっています、時代と共に思考も柔軟に変えていく必要があります。どの主義主張にも完璧はなく、弱点や穴がある。そこを指摘する事も大切だと思いますが。指摘しつつも我々自身がその例外を見極め実際は臨機応変に対応する事は必要なのではないでしょうか。
この考え方で得られるもの
功利主義的な考えを持つと、不可解な感情やルールに流されにくくなるはずです。この行為は自分にとって「快」か「苦痛」か、それが判断できるようになるだけで、自分が今何を一番すべきか、分かってくるのではないでしょうか。特に自分が何かに怒りを持った時、それは周囲に「快」をもたらしていたか、自分はどの様な「苦痛」を与えられていたか考えてみると良いかもしれません。
例えば、極端な例ではありますが、ニュースで良く見る芸能人の不倫はどうでしょうか。その人によって「苦痛」を与えられたのはその人の妻、友人、ファンだと思います。これは明らかに社会にとって苦痛を与えていてマイナスだと思います。しかし、だからといってファンでもない人が皆で叩く必要があるのでしょうか。無駄に怒ってストレスを抱えていませんか?無視して、自分の趣味にでも没頭していた方が良いのは周知の事実です。
こう言った考えを持つ事で、本当に自分がやるべき事が見えてくるはずです。少しだけ、冷静に物事を判断できるようになるのではないでしょうか。
最後に
前回のプラグマティズムに続いて、歴史的な思考方法である功利主義について解説していきました。少しでも、あなたにとってプラスなものなったのならば幸いです。理念や精神、そういったものを学ぶのは自分の人生の考え方が広がりますし、何より面白いですよね。興味を持った方は是非ご自身で深掘りしてみて下さいね。今ではこういった哲学や思想に関して解説している漫画などもありますので、意外と気軽に楽しんで勉強できると思います!
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