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育児
最終更新日 : 2021/02/21
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子どもにご褒美は必要? ー報酬系ってなんだろう?ー

 成績が上がったらご褒美がもらえる、テストで◯点以上取れたらお小遣いがもらえる、というように、成果に応じて報酬がもらっていたという方は意外と多いのではないでしょうか。現代でもそうしている家庭があることは耳にします。こういったご褒美は効果的なのか、様々な研究を基に見ていきたいと思います!

報酬系ってなんだろう?

報酬系とは次のように言われています。



この報酬系によって物理的な報酬があることで、脳が快楽を得ることができます。
欲しいものだったり、夢を想像するだけでもこの回路が働くと言われています。


「学年で10位以内に入ったら携帯を買って!」というようなお願いを親にしたことはありませんか?
もしこの提案が受け入れられた時はすごく勉強をがんばれたと思います。
それは報酬系が働いてくれているからなんですね。

ご褒美は逆効果?!驚きの実験

ご褒美のために頑張ってきた!という方には驚くような実験があります。
1978年、心理学者であるマーク・レッパーとデイヴィッド・グリーンによる実験です。
内容は次の通りです。

3
A 


B


C


2

A
B
CB

参考:『モチベーション3.0持続する「やる気!」をいかに引き出すか』ダニエル・ピンク著 より

実験の結果からわかること

 知っている方も多い実験だとは思いますが、改めて考えると不思議ですね。賞状は報酬であり、予告されて描いていたAグループの子どもたちは「絵を描くことの引き換えに報酬をもらう」という条件がついてしまいました。絵を描くのが好きだったのに、なんだか可哀想な気もします・・・。

 ここから分かることは、「人は自分のやりたいことは報酬がなくても頑張れる」ということです。実験前はどの子どもも誰から言われたわけでもなく、自分自身が描きたいから描いていたはずです。そこに報酬がついてしまうことで、「頑張らないといけない」という固定観念に囚われてしまいます。これはすごく勿体無いことです。

2つのやる気

 人には2つのやる気があると言われています。それは、「内発的動機付け」と「外発的動機付け」です。少し詳しく見てみましょう。


 内発的動機付けは、文字通り自分の内側にある物事への興味・関心に基づいて動機付けられることを言います。上記の実験では、実験前の全ての子どもたちがこの内発的動機付けに基づいて絵を描いていたと言えます。「描きたいから描くんだ!」という状態ですね。内発的動機付けによる行動には持続性があると言われていますが、そもそも持つのが難しいこともあります。


 一方で、懲罰や報酬、評価などの自分の外の要因に基づいて動機付けられることを外発的動機付けと言います。上記の実験では、Aグループに属した子どもたちが外発的動機付けによって動いていたと言えます。「描いたら賞状がもらえる」という報酬のために行動していたのです。効果は高いと言われていますが、先ほどの実験からわかるように、持続性がなく成長が見込めないという欠点があります。

 先ほど取り上げた実験では、外発的動機付けが内発的動機付けを奪ってしまっていました。報酬を与えたことによって「描きたい」という意欲が低くなってしまったのです。
 とはいえ、外発的動機付けが悪いものとは言えません。上手く使えば内発的動機付けを高めるための相乗効果を狙えるかもしれません。例えば何もしないお子さんに対して、一時的に外発的動機付けを使って活動させ、それが面白いと思えば一人で続けるようになるかもしれません。使いすぎてしまうと「ご褒美がないと何もできない」子どもになってしまいますので、注意が必要です。

お金を報酬として渡すこと

 ここからは私個人の考えを書きます。

 学習の成果やお手伝いに対して「お金」を報酬として渡すという事例も耳にします。確かにやる気は出そうですし、それで成績をキープしてきた方も多いかと思います。小さい頃からお金の大切さを学ぶこともできます。

 しかしそれは「お金は嫌なことをして稼ぐもの」「お金を稼ぐのは大変なこと」というお金に対するマイナスイメージをお子さんに植え付けてしまうことになると思います。決して「楽して稼ぎましょう」と言いたいのではありません。一昔前のように「いい会社に入って出世のために働く」「お金をたくさん稼いで家を建てて一人前」と言ったような価値観は崩れつつあります。名だたる大企業であっても倒産することが当たり前の時代になり、終身雇用制度も今後は無くなっていくでしょう。

 では今後は何のために働くのか?それは「自己実現のため」に働くのです。多様性が受け入れられつつある世の中、一人一人の働き方も様々です。AIが加速する世の中では、人間の個性、創造性が大切になってきます。そういった力は内発的動機付けによって高められると言われています。お金や他人からの評価という外の物差しで自分を測るのではなく、「やりたいことだからやる」という自分の価値観に従って生きていける方が幸せなのではないでしょうか。子育てをする中で、親としての思いもあると思いますが「その子自身が本当にやりたいことなのか?」という視点を持つと新しいことに出会えるかもしれません。

まとめ

 様々な観点から「ご褒美」について考えてきました。当然嫌なこともある程度はやらなくてはなりませんし、内発的動機付け、外発的動機付けのどちらかだけでずっと生きていくのは難しいでしょう。重要なのは「バランスよく使い分ける」ということです。ご褒美をあげすぎても逆効果だし、何も評価がないと不安になることもありかもしれません。是非子育ての参考にしてみてください。

  • 報酬系ってなんだろう?
  • ご褒美は逆効果?!驚きの実験
  • 実験の結果からわかること
  • 2つのやる気
  • お金を報酬として渡すこと
  • まとめ

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Yoshi

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教育全般に関わる発信をしていきます。これまでに公立小学校、私立小学校、発達支援のデイサービスでの勤務経験があります。公立中学校にて吹奏楽指導などもしておりました。特別支援教育や心理学、音楽教育などを専門領域としております。ツイッター(@unabaray03)にて教育に関わる発信もしていきます。学位:教職修士

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